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2012-08-25 (Sat)
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ユダヤ人の多いニューヨークでは、ベーグルを始めユダヤの食が「ニューヨークの味」となって紹介されることも少なくない。
確かに、アメリカの都市の中では一番、身近にユダヤ料理の味が溢れている街だ。

そんな中で私が好きなユダヤ料理のスナックはクニッシュ
シカゴでもユダヤ系デリやレストランに行けば食べられるが、「クニッシュ屋さん」のような専門店はやはりニューヨークならでは。




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ローアーイーストサイドの同じ場所に、1910年から店を構えるYonah Schimmel's Knish Bakery

この店は随分前から知っているのだが、ウッディ・アレン映画の「Whatever Works」(2009)(邦題:「人生万歳」)にちらっと出て来たときは「おお!やっと出て来たか!」と思ったりもした。
ウッディ・アレンの好きそうな場所だし、ニューヨークに住むユダヤ人なら、一度はここのクニッシュを食べたことがあるんじゃないかと思う。

私は90年代にニューヨークでユダヤ人男性と暮らしていたことがある。
彼は全く宗教心のないユダヤ人であったが、薄いのは宗教心だけで、とても強いユダヤ文化を背景に生まれ育ち、アイデンティティもとても強いユダヤ人であった。
宗教心が薄いといっても、大学時代はイスラエルに留学してヘブライ語の勉強などする、アメリカのユダヤ人としてはかなりあたりまえのユダヤ人なのだ。
その彼がユダヤの伝統料理をいろいろと紹介してくれた。
民族とか宗教でくくられる我々人間の中には、実はそれほどの民族アイデンティティや宗教心が強くない場合もある。だが、そこから来る生活慣習というのは強く受け継がれる。
その一つが、そして最も強い一つが、食文化だな、と思うことはよくある。




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丸い形のクニッシュ。
これはスィートポテト。
他にはポテト、ほうれん草、豆などがある。

この店のクニッシュが美味しいのは、代々伝わる特別なオーブンのおかげだ。

素朴な味だが、中身は詰まっているので、一つでかなりお腹いっぱいになる。



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壁には古い写真や新聞記事が沢山。
なにしろ、100年以上の歴史がある店だ。

この地域ローアーイーストサイドは、19世紀後半からユダヤ系移民が大量に住み始めた場所だ。
長い間一大ユダヤ系コミュニティだったのであるが、ここ10〜20年のジェントリフィケーションでユダヤ系のコミュニティはもうほとんど無くなりつつある。
無くなりつつあるユダヤ系の店の、貴重な一つでもある。



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近年のジェントリフィケーションだけでなく、60年代〜80年代はとても治安が悪化し、犯罪多発地域でもあった。成功したユダヤ人たちが、ここを出て行ったのも頷ける。
そんな中で、ひどい時代を何十年も耐え続けて引っ越さなかった店というのは、ある意味頑固だ。
今では遠い国から観光客が来る地域になったが、そんなことは想像すら出来なかった時代は長い。
生まれ育った土地への執着なのか。ユダヤ系移民のオリジンを大切にする忠誠心からか。

ニューヨークの老舗を見ると頭が下がるのは、地域の「ひどい」時代の歴史も背負っているからだ。
商売を妨げたのはごろつきやホームレスや酔っぱらいだけではないはずだ。ブレットプルーフのウィンドーやドアが無ければ命さえ危ない時代もあったはず。
よく閉めずに引っ越さずに、同じ場所で続けて来たもんだ、と感心するのだ。




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先日のブログでも書いたが、ここでもエッグクリーム。
チョコレートとバニラのフレーバーがあるのだが、この店はミックスを作ってくれる。



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これはポテト&マッシュルームクニッシュ。
マスタードを付けて食べると美味しい。

ニューヨークに行くとコーシャー料理の店に行きたくなるのは、こういう美味しい店が手軽にあるからだろう。



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